映画『散歩する侵略者』

絶望がやってきた。愛する人の姿で

2017年9月9日公開

第70回カンヌ映画祭「ある視点」部門 正式出品作品

イントロダクション

人類は知らない。滅亡はそこまで来ている。

『岸辺の旅』で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞、国内外で常に注目を集める黒沢清監督が、
劇作家・前川知大 率いる劇団イキウメの人気舞台「散歩する侵略者」を映画化。
数日間の行方不明の後、夫が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくるーという大胆なアイディアをもとに、サスペンス、アクション、そしてラブストーリーと
ひとつのジャンルには収まらない重奏的な魅力を持つ本作。
長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己ほか日本映画界を代表する豪華キャストを迎え、黒沢監督が新たなエンターテイメントに挑戦します。

ストーリー

数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰って来た。なぜか穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。
夫・真治(松田龍平)は、何事もなかったかのように毎日散歩に出かけていく。
同じ頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中、天野(高杉真宙)という
謎の若者と出会い、二人は事件のカギを握る女子高生・立花あきら(恒松祐里)の行方を探し始める。さらなる混乱に巻き込まれていく桜井と天野。
平凡な日常は、いつしか誰も止めることのできない「非日常」へと加速していくー。

キャスト

長澤まさみ 加瀬鳴海役

出演オファーを頂いた時は、私でいいのかなと思うほど本当に嬉しかったです。普遍的な日常の中で、気づかないうちに静かに何かが動き出している…というような、現実味のあるフィクションが好きなので、脚本はのめり込んで一気に読みました。女性として、鳴海の気持ちに共感しながら、真治のことを家族として大切に思えるようにしようと思って演じました。真治役の松田龍平さんは、そんな思いを常に受け止めてくれて、とても助けられました。
黒沢監督は、細かく丁寧にお芝居をつけてくださるのですが、怒ってばかりの役だったので、いい意味で、こんなに大変で辛い現場は久しぶりだなと思いました。毎日ふらふらになりました。作品の中で描かれているようなことが、現実の世界でも起こっているかもしれないというドキドキを、ぜひ楽しんで頂けたら嬉しいです。

1987年生まれ。静岡県出身。
【主な映画出演作】
『ロボコン』(03/古厩智之監督)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04/行定勲監督)、『涙そうそう』(06/土井裕泰監督)、
『岳-ガク-』(11/片山修監督)、『コクリコ坂から』(11/宮崎吾朗監督※声の出演)、『モテキ』(11/大根仁監督)、
『潔く柔く』(13/新城毅彦監督)、『WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜』(14/矢口史靖監督)、
『海街diary』(15/是枝裕和監督)、『アイアムアヒーロー』(16/佐藤信介監督)、『君の名は。』(16/新海誠監督※声の出演)、
『グッドモーニングショー』(16/君塚良一監督)、『金メダル男』(16/内村光良監督)、
『SING/シング』(17/ガース・ジェニングス監督※声の出演)
待機中作品に『追憶』(17公開予定/降旗康男監督)、『銀魂』(17公開予定/福田雄一監督)

松田龍平 加瀬真治役

脚本を読んだ段階では、「侵略者」に体を乗っ取られた男という真治の設定が想像しきれなくて、逆に何もこだわらずに撮影に臨みました。黒沢清監督と初めてご一緒できることも嬉しかったですが、黒沢監督にヒントをもらいながら、役を埋めていきました。
「侵略者」がやってくる、というシンプルでわかりやすい話なのに、いろんな視点で楽しむことができるのがこの作品の魅力だと思います。鳴海と真治という、壊れかけた夫婦の関係性、真治が鳴海の心を取り戻していく話でもありますし、一方で「侵略」のあり方を描いていく話でもある。笑える要素もあるし、アクション映画か?というような部分もあるし、自分が出演していないところでも楽しみなシーンがたくさんあります。様々な面白さのある、幅の広い映画になったんじゃないかと思います。

1983年生まれ、東京都出身。
【主な映画出演作】
『御法度』(99/大島渚監督)、『青い春』(02/豊田利晃監督)、『恋の門』(04/松尾スズキ監督)、『NANA』(05/大谷健太郎監督)、
『悪夢探偵』シリーズ(07、08/塚本晋也監督)、『劔岳 点の記』(09/木村大作監督)、『蟹工船』(09/SABU監督)、
『誰も守ってくれない』(09/君塚良一監督)、『まほろ駅前多田便利軒』(11/大森立嗣監督)、『探偵はBARにいる』(11/橋本一監督)、
『北のカナリアたち』(12/阪本順治監督)、『舟を編む』(13/石井裕也監督)、
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(13/橋本一監督)、『まほろ駅前狂騒曲』(14/大森立嗣監督)、
『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』(15/松尾スズキ監督)、『モヒカン故郷に帰る』(16/沖田修一監督)、
『殿、利息でござる!』(16/中村義洋監督)、『ぼくのおじさん』(16/山下敦弘監督)
待機中作品に『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17公開予定/石井裕也監督)、『探偵はBARにいる3』(17公開予定/吉田照幸監督)、
『羊の木』(18公開予定/吉田大八監督)

高杉真宙 天野役

僕が演じるのは侵略者の天野です。長谷川さん演じるジャーナリストの桜井と共に行動します。
天野は「侵略者」ですが、見た目は僕のまま…普通の人間なので、どうしたらそれが観る方に伝わるのか、
どこまで伝えるべきなのか…というのが難しかったです。
「散歩する侵略者」は、SFのようなタイトルですが、家族とは何か?愛とは何か?言葉ではわかっているつもりでいても、実は言い表せないものについて深く考えさせられる作品だと思います。
ユーモアもあって、思わずクスッと笑ってしまうシーンもあります。
たくさんの皆さんにご覧頂き、ぜひこの不思議な世界に入り込んで頂きたいと思います!

1996年7月4日生まれ。福岡県出身。
【主な映画出演作】
『カルテット!』(12/三村順一監督)、『ぼんとリンちゃん』(14/小林啓一監督)、『PとJK』(17公開予定/廣木隆一監督)、
『ReLIFE リライフ』(17公開予定/古澤健監督)、『想影』(17公開予定/加藤慶吾監督)、『逆光の頃』(17公開予定/小林啓一監督)、
『トリガール!』(17公開予定/英勉監督)、『プリンシバル 恋する私はヒロインですか?』(18公開予定/篠原哲雄監督)
<TVドラマ>「35歳の高校生」(13/NTV)、「仮面ライダー鎧武/ガイム」(13/EX)、「表参道高校合唱部!」(15/TBS)、
「明日もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~」(15/CX)

恒松祐里 立花あきら役

立花あきらは、外見は女子高生で中身や考え方は「侵略者」という設定なので、電車の中などで人間観察をしながら、「人間ってこういうものなのかな」って面白がる感覚があきらっぽいのではないか、と思って役作りをしました。一番苦労したのはアクションシーンですが、どう見せたらかっこいいか、というだけではなく、
黒沢監督から「“人間ってこういう感じなんだ、へえー”みたいな感じのアクションで」と言われ、そういう
あきらの「度を超えた」無邪気な好奇心を表現しながらアクションをするというのがとても難しかったです。

1998年10月9日生まれ、東京都出身。
【主な映画出演作品】
『くちびるに歌を』(15/三木孝浩監督)、『俺物語!!』(15/河合勇人監督)、
『ハルチカ』(17/市井昌秀監督)、『サクラダリセット 前篇・後篇』(17公開予定/深川栄洋監督)
<TVドラマ> 連続テレビ小説「まれ」(15/NHK)、「5→9 ~私に恋したお坊さん~」(15/CX)、大河ドラマ「真田丸」(16/NHK)

長谷川博己 ジャーナリスト・桜井役

黒沢清監督作品に出演できたことをとてもうれしく思います。
「侵略者」と行動をともにしていくジャーナリスト桜井役です。
黒沢監督の作品は多く拝見していますが、撮影前に「(監督の)今までの作品のことはすべて忘れてください」と仰っておられました。何か新しいことに挑戦されようとする監督の意思に心躍りました。
ラブストーリーでもあれば、男同士の友情を描くノワール映画的な要素もあります。ジャンルを飛び越えた、
すごい映画になるんじゃないかと楽しみにしています。

1977年生まれ、東京都出身。
【主な映画出演作】
『セカンドバージン』(11/黒崎博監督)、『鈴木先生』(13/河合勇人監督)、『地獄でなぜ悪い』(13/園子温監督)、
『舞妓はレディ』(14/周防正行監督)、『海月姫』(14/川村泰祐監督)、
『進撃の巨人 ATTACK ON TAITAN』前後篇2部作(15/樋口真嗣監督)、『ラブ&ピース』(15/園子温監督)、
『この国の空』(15/荒井晴彦監督)、『劇場版 MOZU』(15/羽住英一郎監督)、
『セーラー服と機関銃 卒業』(16/前田弘二監督)、『二重生活』(16/岸善幸監督)、『シン・ゴジラ』(16/庵野秀明監督)

スタッフ

原作:前川知大

そもそも自分は黒沢清監督の映画が大好きで、かなりの影響を受けています。その僕が演劇として生み出したこの物語を、映画にするのが黒沢監督というのは僕的に最高の巡り合わせでした。そこに集まった俳優陣も素晴らしく、もう期待しかありません。ある夫婦の話でありながら、世界に対する侵略者の話でもあります。 映画ならではのスケール感で描かれることに興奮しています。

劇作家・演出家
1974年生まれ。新潟県出身。
2003年結成の劇団「イキウメ」を拠点に、脚本と演出を手掛ける。「散歩する侵略者」、「太陽」、「関数ドミノ」、「プレイヤー」、「片鱗」、
「獣の柱」、短篇集「図書館的人生」など、SFやホラー作品を発表し、日常の隣に潜む異界を、超常的な世界観で描く。
ほか、四代目市川猿之助によるスーパー歌舞伎Ⅱ「空ヲ刻ム者 -若き仏師の物語-」(14)、「奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話」(09)、
「現代能楽集Ⅵ 奇ッ怪 其ノ弍」(11)、「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」(16)の脚本・演出、「太陽2068」(14/蜷川幸雄演出)への脚本提供など。
読売演劇大賞(大賞・最優秀演出家賞、作品賞)、芸術選奨新人賞、紀伊國屋演劇賞(個人賞)、読売文学賞(戯曲・シナリオ賞)、鶴屋南北戯曲賞などの
演劇賞を受賞。演劇以外ではコミック「リヴィングストン」(片岡人生 漫画)、絵本「くらいところからやってくる」(小林系 絵)の原作。
小説「散歩する侵略者」、「太陽」の執筆。映画『太陽』(16/入江悠監督)の原作・共同脚本。
【原作】「散歩する侵略者」とは・・・2005年初演、2007年、2011年と再演を重ねる、イキウメの代表作。
2007年に前川自身の手により小説化され、今年7月文庫化の予定(角川文庫)。

監督:黒沢 清

イキウメの舞台では、決まって世界は二重三重にかさなり合っている。その絶妙な配置をどうやって映画化するか、最初それは至難のワザに思えた。私を含めてスタッフたちはみな試行錯誤しながら、現実世界の中に様々なこちら側とあちら側の境界線を用意した。それが正解なのかどうか、やってみるまで誰にもわからなかった。
しかし俳優たちは誰一人ちゅうちょせず、いとも軽々とその境界線を越えてくれた。時に笑いを誘いながら。
こうして今まで多分誰も見たことのない、まったく新しい娯楽映画ができあがったように思う。

1955年生まれ、兵庫県出身。
大学時代から8ミリ映画を撮り始め、1983年、『神田川淫乱戦争』で商業映画デビュー。その後、『CURE』(97)で世界的な注目を集め、
『ニンゲン合格』(98)、『大いなる幻影』(99)、『カリスマ』(99)と話題作が続き、『回路』(00)では、
第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。以降も、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『アカルイミライ』(02)、
『ドッペルゲンガー』(02)、『LOFT ロフト』(05)、第64回ヴェネチア国際映画祭に正式出品された『叫』(06)など
国内外から高い評価を受ける。
また、『トウキョウソナタ』(08)では、第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞と第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞。
連続ドラマ「贖罪」(11/WOWOW)では、第69回ヴェネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門にテレビドラマとして
異例の出品を果たしたほか、多くの国際映画祭で上映された。近年の作品に、『リアル〜完全なる首長竜の日〜』(13)、
第8回ローマ映画祭最優秀監督賞を受賞した『Seventh Code』(13)、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞、
第33回川喜多賞を受賞した『岸辺の旅』(14)、第66回ベルリン国際映画祭に正式出品された『クリーピー 偽りの隣人』(16)、
オールフランスロケ、外国人キャスト、全編フランス語による海外初進出作品『ダゲレオタイプの女』(16)がある。
第29回東京国際映画祭SAMURAI賞を受賞。※本文中( )内は製作年表記となります。